外出をすると、厚着をして出かけても首元や手先の冷えが気になるようになりましたね。
マフラーや手袋といった、冬アイテムが本格的に必要な時季です。
季節は冬至へと巡りました。
《二十四節気》のひとつ冬至(とうじ)は冬の節気、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒の4番目の節気となります。

1年のうちで最も昼の時間が短く、夜が長い日です。
夜の時間が長くなるだけでなく、寒さも本格化します。
冬至を過ぎると本格的な冬の寒さがやってくるともいわれています。
昔から冬至には、様々な風習があります。
代表的なのが、ゆず湯に入ることです。
ゆず湯は、血行を促進して体を温め、風邪を予防する効果があるといわれています。

また、かぼちゃを食べる風習もあります。
かぼちゃは、冬に栄養が不足しがちだった昔の人々にとって、ビタミンやカロテンが豊富で長期保存が可能な貴重な食材でした。

こうした風習は、健康に冬を乗り切るための昔の人々の知恵が詰まっています。
冬至を境に、少しずつ昼の時間が長くなっていくことから、「一陽来復(いちようらいふく)」といわれ、運気が上向きに転じる日として昔から大切にされてきました。
冬が終わり春が来るように、悪いことが続いた後に幸運が巡ってくることを意味する言葉です。
この考えは、私たちの人生にも当てはまります。
たとえ今は辛い状況や困難な時期であっても、いつか必ず良い方向へ向かう時が来るという希望のメッセージが込められています。
冬の寒さに耐え、春の訪れを待つ植物のように、困難な時期を乗り越えれば、必ず良い転機が訪れるという前向きな意味合いで使われます。

冬至に行われるゆず湯やかぼちゃを食べる風習も、この「一陽来復」の考えと深く結びついています。
これらは、冬の寒さに負けずに健康を保ち、新しい年の幸運を迎えるための行事です。
運を呼び込む「運盛り(うんもり)」として、「ん」がつく食べ物(かぼちゃ=なんきん、れんこん、うどんなど)を食べるという風習も、運気の上昇を願う気持ちの表れです。
「一陽来復」は、冬至の時期だけでなく、人生の節目や困難に直面したときに、私たちに希望を与えてくれる大切な言葉なのですね。

一年で最も夜が長い冬至。寒いこの時期は、庭仕事から少し離れて、温かい部屋で来年の庭計画を立てるのに最適な時間です。
静かな夜に、ゆっくりとペンを走らせてみませんか。
今年の庭を振り返る
まずは、ノートとペンを用意して、この一年間の庭を振り返ってみましょう。

「楽しかったこと」
咲いて嬉しかった花、実りの喜び、友人とのバーベキューなど、庭での良い思い出を書き出します。
「難しかったこと」
うまく育たなかった植物、水やりが大変だった、雑草取りに苦労したなど、課題をメモしておきましょう。
「やってみたいこと」
来年チャレンジしたいこと、新しく迎えたい植物、設置したいガーデンファニチャーなどをリストアップします。
こうして書き出すことで、自分の庭への想いが明確になり、来年の計画が立てやすくなります。
夢を形にするアイデア
振り返りを踏まえて、具体的な計画を立てていきましょう。
テーマを決める
例えば、「ハーブを育てて料理に活かす庭」「野鳥が集まる自然な庭」など、小さなテーマを決めることで、庭全体の方向性が定まります。

スペースを考える
庭全体を一度に見直すのは大変なので、「入り口まわり」「シンボルツリーの下」など、来年手を加えたいエリアを絞って考えてみましょう。
植物を調べる
気になっている植物があれば、寒さに強いか、日当たりは好きか、水やりはどのくらい必要かなど、育て方を調べておくと失敗が少なくなります。

カレンダーに書き込む
種まきの時期や剪定の時期、球根を植える時期など、年間を通しての作業をカレンダーに書き込んでみましょう。
春が来る前に計画を立てておくことで、ゆとりを持って作業に取り組めます。

来年の庭は、この冬の計画から始まります。冬至の夜に、夢を膨らませてみてください。
冬至の《七十二候》
初候:乃東生(なつかれくさしょうず) 12月22日〜12月25日頃
次候:麋角解(さわしかのつのおつる) 12月26日〜12月30日頃
《乃東生(なつかれくさしょうず)》

冬至に芽を出す生命力は、まさに「一陽来復」の象徴なのです。
《麋角解(さわしかのつのおつる)》

大鹿とは、ヘラジカなど大きな角を持つ鹿のことで、この時期に生え変わりのために角を落とす習性があります。
鹿の角は骨の一部で、毎年春に生え始め、夏から秋にかけて成長し、冬になると自然に根元から外れて落ちます。
角はオスの象徴であり、主にメスを巡る争いや外敵からの防御に使われますが、冬の間は繁殖期が終わり、闘争の必要がなくなるため、エネルギーを温存するために不要になった角を落とすのです。
角を落とすことで、体への負担を減らし、食料が少ない冬を効率よく生き抜くことができます。
これは、鹿が春に向けて新しい角を生やすための準備です。
角を落とした後、すぐに新しい角が生え始め、驚くべき速さで成長します。
そして、夏から秋にかけて皮膚が剥がれ落ち、硬く立派な角が完成するのだそうです。
鹿の角は毎年生え変わり、歳を重ねるごとに立派な角になり枝分かれも増えていきます。
大鹿の角が落ちる様子は、昔の人々にとっては大自然の静かなる営みと、厳しい冬を生き抜く動物たちの知恵を象徴しているように感じたのでしょう。
《雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)》

厳しい寒さの中、雪に覆われた地面の下で、麦がじっと春を待っている様子を表しています。
この麦は、春になると再び生長し、やがて実を結びます。
冬に麦をまき、雪の布団で冬を越させる「冬作麦」は、日本の農業において古くから行われてきた栽培法です。
これは、厳しい寒さや乾燥から麦を守るだけでなく、適度な水分を与える効果もあります。
冬至は、一年の終わりの静けさの中で、次の春への希望を抱かせる大切な節目です。
寒さにも強く、辺り一面が雪に覆われていても、その下ではひっそりと芽吹き、暖かい春をじっと待っています。
先人たちは、そんな様子に思いを馳せたのでしょう。





















